ミステリー小説と聞くとサスペンス系のイメージが沸きますが実はミステリー小説の中でもそのジャンルは多岐に渡ります。本記事ではハラハラするようなミステリーをはじめ、デスゲーム系や青春ミステリー、ユーモアのあるものや感動ミステリーまでご紹介していきます。
『悪魔には悪魔を』 大沢 在昌
日本を離れ外国で傭兵として生きていた加納将が日本に帰国すると怪しい組織が接触してきます。
なんと高校で生き別れとなった双子の兄である良の仲間で良は麻薬組織の捜査官として潜入捜査の途中で行方不明となってしまったとのこと。
瓜二つの兄の行方を探すため捜査組織と協力し弟の行方を探すのですが・・・
悪魔と呼ばれる組織クィーの正体や弟が決して飲むことがなかった牛乳パックに残された謎の番号。次々と現れる登場人物は誰が信頼できて誰が怪しいのか疑心暗鬼になってしまいます。
読み進めていくうちに敵か味方か分からないハラハラドキドキ感が感情を刺激してくれます。

果たして兄を救うことができるのか?男臭くてハードボイルドなミステリー作品が好きな人には大変オススメです。
『インシテミル』 米澤 穂信
本作『インシテミル』はミステリー小説の名作として、たびたび名前が挙がる作品です。
車の購入資金が欲しかった主人公の結城はアルバイト情報誌に掲載されていた怪しげな実験のモニターに参加します。その実験とは7日間の監視付きで隔離生活するというものでしたが、それに見合う破格の報酬。
しかしそれは参加者同士が殺しあうことで報酬が増減する実験でした。
殺しあわなくても一定の報酬はもらえるので参加者同士で不戦の約定を交わすのですが・・・
よくある漫画作品では主人公が理路整然と謎を解明していきますが本作では集団において人望やリーダーシップがない人間がいくら正解となる道を説いたとしてもどうにもならないという非常にリアリティのある作品。
そんな時に生き残るためのヒントがある斬新な作品です。

デスゲーム系のミステリーです。ストーリー展開もよく好きな方はすぐに読み終えてしまうくらいの面白さです
『ボトルネック』 米澤 穂信
先程ご紹介したミステリー小説『インシテミル』の著者、米澤穂信さんの作品からもう一つ青春ミステリーをご紹介します。
死んでしまった恋人を追悼するために主人公リョウが東尋坊に訪れるのですが、不思議な声に導かれて東尋坊から落下。現実とそっくりな不思議な世界に迷い込んでしまいます。
そこでは生まれてこなかったはずの姉であるサキが生きている世界でリョウはその世界を彷徨うことで現実世界との相違点を見つけるのですが・・・
青春ミステリー小説であるこの作品は思春期の少年少女の悩みをうまく描いており、ラストでリョウが取った行動はどうなったのか色々な考察も楽しめる作品です。

作品のタイトルにもなっている「ボトルネック」というタイトルの意味が読後にわかった際に衝撃を覚えます。
『謎解きはディナーのあとで』 東川 篤哉
「あまりややこしくないミステリー小説を読みたい」といった方や、ミステリー小説を初めて読む方など入門用としてもおすすめ出来る作品です。
国立署の新米刑事でありながら「宝生グループ」のお嬢様である宝生麗子とお付きの執事である影山が事件の謎を解いていくミステリー小説。
麗子と影山のコンビのやり取りは面白く、あまり肩肘を張ることなくミステリーを楽しむことができます。
コミカルで読みやすくあまり難解でないことから幅広い年齢層が楽しめる作品となっております。

櫻井翔さん主演でドラマ化された作品でもあるのでそういった点でも知名度のある作品です。

『謎解きはディナーのあとで』は第8回本屋大賞第一位受賞作品です。ユーモアがあって読みやすいですよ
『重力ピエロ』 伊坂 幸太郎
伊坂幸太郎作品の中でも一番に推す声も多くまさしく普及の名作のひとつである『重力ピエロ』。
まだ読んでいない方は個人的にもぜひおすすめしたい感動ミステリー小説です。
兄の泉水と二つ下の弟の春の兄弟は連続放火事件に直面します。現場に残されている謎のグラフィティアート。
連続放火事件の犯人は一体だれなのか?
読み進めるうちにミステリー小説が好きな方であれば犯人が誰なのかおおよその検討はついてくるのですが、犯人の動機とラストで明かされていく事実は想像を超えており
驚くこと間違いありません。
過去の伊坂幸太郎さんの作品に登場したキャラクターも登場するのでファンはより楽しめるでしょう。

ミステリー要素だけじゃありません!家族の絆や泉と春の父の姿には感動すること間違いありません。

タイトルである『重力ピエロ』に込められた意味を知った時、私は泣けてきました。映画でも父親役を演じる小日向文世さんの子どもたちを温かく見守る姿も良かったですね、予告編観るだけで泣きそうになります

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