長く続くこのコロナ渦で家で過ごす時間が増えた方が多いと思います。家での過ごし方は色々とありますがこれを機会に読書を楽しむ方が増えています。
読書といえば小説ですが、本記事では何かと刺激の多いホラー小説を管理人の独断で5つご紹介させていただきます。
感動とはほど遠い『恐怖』や『ハラハラ・ドキドキ』そして時には嫌悪感を抱くこともあるホラー小説。
今までホラー系には興味が無かった方もたまにはいつもと異なるカテゴリーの小説を手に取ってみてはいかがでしょうか。
コロナ渦でマスク着用者が多いこの時期に読むとリアルに怖い【じょかい】
著者:井上宮
コロナウイルスが蔓延するようになった今こそリアリティがあるホラー小説です。
主人公は疎遠だった兄からの突然の連絡を受けて様子を見に行くのですが、兄の様子がおかしくなっており、やがて「じょかい」という化け者にたどり着きます。
兄を救うべく奮闘しますが・・・
「じょかい」という見た目は女性の姿をしている化け物に家庭という場所を侵食されてしまう様子は妙にリアリティがあり恐ろしく感じました。
大き目のマスクをしているあなたの隣の人は「じょかい」かもしれません・・・
2016年に「ぞぞのむこ」で第10回小説宝石新人賞を受賞した井上宮さんの本格ホラー作品です。

夜に寝るのが怖くなりそうな方は注意ですよ。勇気のある方は是非挑戦してみてください。
自働車製造工場を舞台にした社会的モダンホラー【猿神】
著者:太田忠司
舞台はバブル時代の日本の自動車製造工場。
過酷な労働環境の自動車の製造現場で肉体的にも精神的にも追い込まれた主人公を含めた社員が徐々におかしくなっていく様子にゾッとします。
オカルトとブラックな職場環境で狂っていく社員たちになんだかシンパシーを感じてしまいます。
やがて同僚の一人が殺人事件を起こしてしまい姿を消してしまいます。
この作品を読むと今でこそ派遣社員というと都合の良い雇用調整弁という印象ですがバブル期は派遣社員はエリート社員という意味合いが強かったことにも驚きます。
ホラー好きな方が求めるようなホラー要素ではなく、ブラックで過酷な労働環境の描写がある意味ホラーと言えます。
ハードワークでへとへとな会社員は楽しめるでしょう。

良いイメージしかないバブル時期を知らない世代にもおすすめです
第1回最恐小説大賞受賞作品。短時間でも読みやすい短編連作ホラー【怪奇現象という名の病気】
著者:沖光峰津
精神病棟に勤める警備員の主人公の視点から入院している患者のエピソードが語られていくストーリー。
本作品は患者ごとのエピソード別に読めるので非常に読みやすい作品です。
入院している患者は本当に精神の病なのか?話を聞いているとそれぞれが奇妙な体験をしており入院している患者から話を聞いていく構成となっています。
短編仕立てのようになっていてどこからでも読み進めることができますし、独立しているようですべての話を読んで終盤に突入するとこれまでの伏線が回収されていく様子は非常に面白いです。

読書が苦手な方でもグイグイ読めちゃいます。短編だけど読み応えがあって面白かったです。
これがネットでバズった話題の『芦屋公園』さんのホラー小説【ほねがらみ】
著者:芦花公園
ほねがらみはウェブ上の小説投稿サイト「カクヨム」で公開され大変怖いと評判になりSNSで反響があった話を小説化した作品です。
読み進めていくと主人公の「私」に徐々に怪異が迫ってくる様子が非常にリアリティがあり、最近読んだ作品の中では特に恐ろしく感じました。
土着信仰を巡る民俗学的な要素が含まれておりストーリーが進むにつれ時代背景も過去から現代へと移っていくのですが、恐怖が徐々に迫ってくるようで見ていてドキドキしました。
特にラストのページは読んでいるこちらにも怪異が迫ってきそうで恐ろしかったです。ホラー界に新鋭現る。

SNSの反響から書籍化と聞いて読んだら恐怖感がすごい。まさにホラー界に新鋭現れる!といった感想です
ホラー小説を読むならおすすめの作者『澤村伊智』さんの新作小説【ぜんしゅの跫(あしおと)】
著者:澤村伊智
ホラー小説の名手である澤村伊智の新作小説です。
短編小説のような形になっているのでどこからでも読みやすい構成となっており、怪異の怖さもありますが序盤の「鏡」では人間の性質のいやらしさなどを感じる作品で私は恐怖を感じると共に気分が少し悪くなりました。
読み手を引き込むような作品で澤村伊智の小説を初めて読む方にもオススメできますし、「ぼぎわんが来る」や「ずうのめ人形」などシリーズが好きな方は楽しめること間違いありません。
ホラーに関しては澤村伊智にハズレはないと言えるでしょう。

澤村さんのホラー作品に『ほぎやんが来る』や『ずうのめ人形』の他に『などらぎの首』や『ししりばの家』といった作品もあります。
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