読書好きも読書初心者もミステリー系小説はいつだって人気のカテゴリー。小説には読み手に与える影響や様々な効果が得られますが中でもミステリー系小説といえばあまり普段の生活では味わえない現実離れしたハラハラやドキドキ感を味わうことが出来ます。
ミステリー系小説では良くも悪くも現実世界では起こりえない世界に入り込むことが出来るので良い意味で現実離れ出来る時間を過ごすことが出来ます。
読み進めるほどに結末が気になり、ついついページをめくる手が止まらずに一気に読んでしまうことも少なくありません。
本記事ではそんな魅力いっぱい・楽しみ方いっぱいのおすすめミステリー系小説をご紹介しています。
ノーベル文学賞受賞作家「ウィリアム・ゴールディング」の代表作にして名作【蠅の王】
著者:ウィリアム・ゴールディング
飛行機事故により無人島での生活を余儀なくされたイギリスの少年たち。
彼らはラーフという少年をリーダーとし、話し合いを重ねながら救助を待ちつつ、互いに協力し暮らしていました。
知恵や知識に長けたラーフと対照的に、体力や狩猟に長けていたのがジャック。彼はラーフがリーダーとして振る舞うことに納得いかず、次第にラーフと敵対していきます。
さらに狩猟隊長を任されていたジャックは、森の中の動物たちを殺すことに快感を覚えはじめ、狂気的に変貌していきます。
異常な環境下で人間がどう変化していくのか、恐怖に支配された少年たちの言動を通じ、誰もが秘めている狂気的な部分が表現されている作品です。
登場人物はみな少年たちですが、彼らの行動から様々なことを読みとり、学ぶことができるため、大人の方にもおすすめの作品です。
読書好きにはたまらない。ミステリー・SF要素が詰め込まれた読み応えのある長編小説【百年法】
著者:山田 宗樹
時は西暦2048年、人々の多くはHAVIという不老化処置を受け、施術を受けた年齢の身体を維持したまま街を行き交っていました。
HAVIの普及によって「老い」や「死」が遠い存在となった世界。しかしいくら身体は若くとも、実年齢を重ねるにつれ思考や探求心といった内面は老いてゆき、「HAVIを受けた若者」が増えるにつれ、「本物の若者」たちは就職難に晒される。
このままでは国力の衰退は免れない…。そんな状況を脱するために、HAVIを受けた者は処置後百年をもって基本的人権を全て放棄しなければならない(=死)という生存制限法(百年法)の施行が決定されます。
「老い」でも「病気」でも「事故」でもなく、「法律」によって定められる「死」を、人々はどう受け入れていくのか。
物語の後半にかけて生と死の狭間で揺れ動き、狂気と化していく人々が描かれています。
長編ですが、読書好きの方にはぜひ読んで頂きたい作品です。
ホラー小説に挑戦するならまずはこれ。読書初心者でも読みやすい初級ホラー小説【親指さがし】
著者:山田 悠介
とある別荘でバラバラに解体された女性の遺体が発見された。最後まで見つからなかった、左手の親指を除いて…。
「親指さがしって知ってる?」沢武は同級生の由美からそう問われたことをきっかけに、友人5人で「親指さがし」というゲームをすることに。
皆で輪になり、親指を隠しながら女性が殺害されバラバラにされていく様子を想像すると、その殺害現場に意識を飛ばすことができるという遊びでした。
半信半疑の5人でしたが、噂通り5人は不気味な別荘へと誘われます。
あらかじめ共有していた方法で現実世界に戻ることができた武でしたが、言い出しっぺの由美だけが、現実世界から忽然と姿を消してしまったのです。
由美が見つからないまま時は過ぎ、武ら4人は20歳になろうとしていました。
由美の失踪から7年の時を経て、再び彼らを襲う恐怖の連鎖とは…?ホラー好きの方におすすめの背筋がぞっとする作品です。
読みやすくてサクサク読めるけど鳥肌が立つミステリー小説【あそこの席】
著者:山田 悠介
物語の主人公は、転校生の瀬戸加奈。
加奈が指定された席に向かうと、クラスメイトたちから冷ややかな視線が注がれます。その後、加奈の周辺で起こる悪質な嫌がらせの数々。
加奈が座っている席にはこれまでにも3人の生徒がいましたが、いずれの生徒も失踪や自殺によってその席から姿を消していたのです。
あそこの席は呪われている…。加奈は自分に対する嫌がらせを誰がどんな目的で行っているのか調べるべく、担任教師とともに過去にその席に座っていた生徒3人について探り始めます。
エスカレートしていく加奈への嫌がらせ、少しずつ明らかになる「あそこの席」の謎…。
狂気的なラストは必見であり、本当に怖いのは生身の人間であると思い知らされる作品です。
面白くて読むスピードが思わず上がる!刑事ものが好きな方におすすめ【蝶の力学】
著者:麻見 和史
自宅で遺体となって発見されたのは不動産会社社長の天野英雄。腹部の刺し傷に加え、喉元も刃物で切り裂かれ、ブルーデージーという青い花が4本差し込まれていました。
警視庁捜査一課の刑事である如月塔子は、上司であり相棒でもある鷹野秀昭ら捜一メンバーと共に犯人逮捕に向けて全力で捜査に当たります。
まずは天野英雄の妻であり行方不明となっている真弓を探し出し、救出すべく奔走しますが…。
新聞社に届く犯人からの不気味なメール、塔子たちを見張る怪しい視線。天野英雄を殺害し、青い花を挿した犯人は誰なのか、そして次の被害者は…?
塔子をはじめとする刑事たちの組織捜査の模様が細かく描かれ、集まった材料でその都度行われる事件の「筋読み」が面白い。
まるで刑事ドラマを観ているかのように頭の中で映像化され、読み進めていく手が止まらない「ザ・刑事もの」といった作品です。
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