今まで読んだ作品の中で心に残る小説はいくつありますか?世の中にはまだ出会っていない素晴らしい作品が多くあります。本記事ではいつまでもあなたの心に残る1冊になるかもしれない愛に溢れたストーリーの作品をご紹介します。
真っ直ぐな心と家族愛の良さがしみる1冊【わたしのグランパ】
著者:筒井康隆
刑務所から帰ってきたグランパ(おじいちゃん)と孫の珠子の物語です。
珠子は友達のいじめをかばったせいで、いじめに合います。
グランパはそんな珠子が頬っておけず、中学生を相手に容赦なくひと肌脱いで珠子を助けます。困った人がいると常識外れな方法で次々と場を治めていきます。
真っ直ぐで曲がったことが嫌いなグランパにみんながついていくのもとてもわかります。
グランパの情の熱さと、ぶっ飛んだところのある行動力が爽快で面白いです。
ページ数も少ないので、小学校高学年ころから読めるので感想文にもお勧めです。
「わたしのグランパ」は石原さとみ、浅野忠信、菅原文太さんといったキャストで映画化されています。映画でもまた違ったグランパを観れるのでご一緒にいかがでしょう。
女の子と犬のぬくもりを感じる暖かいストーリー【愛のひだりがわ】
著者:筒井康隆
幼い時に犬にかまれ左腕が不自由になった愛。
母を亡くし一人になった愛は犬のデンと一緒に旅に出ます。
愛は犬の言葉がわかり、デンはいつも愛の左側を歩いて守っていました。悲しいことに旅の途中でデンとの別れや村の人との出会い・別れを繰り返し旅を進めていきます。
ラストは物悲しい結末ですが、愛の左側にはいつも守ってくれる人がいて温かい気持ちになります。
本のはじめは愛の年齢に合わせた小学生のような幼さの残る文体ですが、成長と共に大人の表現へと変わっていきます。
筒井康隆さんならではの遊び心を感じました。こういう所でも楽しませてくれるのは流石だと思います。
第1回本屋大賞を受賞したベストセラー【博士の愛した数式】
著者:小川洋子
80分しか記憶が続かない数学博士と家政婦とその息子の物語。
博士は家政婦の息子にルートと呼んで可愛がります。
3人の生活が穏やかで温かく、優しさに溢れています。博士の記憶はさらに短い時間しかもたなくなり、悲しみと切ない気持ちになりますが、3人の過ごした日々の幸せが読んだ後も余韻が残りました。
数学の美しさが伝わってきて、学生時代は数学が嫌いでしたが、美しい学問だなと改めさせられました。
小川洋子さんの丁寧な言葉からも、人への優しさが伝わってきました。映画など映像としても見てみたい1冊です。
「博士の愛した数式」は寺尾聰、深津絵里、吉岡秀隆さんといった俳優陣で2005年に映画化されています。人への優しさが伝わる内容から映画で映像化されたこの作品を見るのもおすすめです。
コミック版も発売されているので活字が苦手な方におすすめです。
一度だけ死者との再会が叶うなら、あなたならどうしますか?【ツナグ】
著者:辻村深月
一生に一度だけ死者との再会を叶えてくれる代々続く「使者」を歩美は祖母から引き継ぎます。
自殺したアイドル、事故で亡くした親友、失踪した婚約者などこの世にはいない人との再会は、生きているときに伝えられなかったことを話せて、真相が分かった場面は感動がありました。
生と死について考えさせられるところが単なるファンタジーで終わらせない辻村さんのの小説の深さを感じます。
使者が本当にいたら、私は会うかどうか迷うと思います。
私が会いたいと思うほど相手は会いたいと思っていないかもしれないし、知らなくてもいいことまで知ってしまうことが怖いからです。
生きて会いたい時に会うことが一番大事なのかもしれません。
「ツナグ」は松坂桃李、樹木希林、佐藤隆太、桐谷美玲さんなどといったキャストで2012年に映画化されています。
残された時間がない妻に寄り添う夫の物語【美しい距離】
著者:山崎ナオコーラ
ガンで余命わずかの妻をもつ夫が最後まで寄り添う物語です。
妻はサンドイッチ屋を一人でしていて、パンを卸していた双子の姉妹、長野の農家、お店のファンのおじいさんなど決して多くはない人との心地良い関係性がありました。
延命治療はしない選択をしても前向きに命を全うすること、考えても答えがないことと向き合う家族のつらさも感じました。
妻が亡くなったあと夫は毎日夢に出てきた妻が半年後には数日に一度になり、1週間に一度、やがて夢に出てくる妻は昔の20代の頃の姿に。
妻との距離が開いてしまってもずっと心に光っている関係があることが素敵でした。
人との距離は近くても遠くても繋がっていることが大事だと教えてもらった気がします。
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