小説には皆それぞれに様々なストーリーがあり、時には自分の人生や生活に照らし合わせて読める楽しみもあります。中でも主人公が自分と同性だと自分に置き換えてストーリーを楽しむことが出来ます。
本記事では特に女性におすすめしたい、いわば主人公が女性である物語の小説をご紹介したいと思います。
次に読みたい本を探すご参考にどうぞ。
山登りを通じて描かれる人間模様が面白い【山女日記】
著者:湊かなえ
20~30代の女性が山登りをして人生と向き合う7つの短編集から成ります。
7つの物語にはそれぞれ登る山の名前が付けられています。
孤独や、将来の不安、不倫、結婚などの悩みを抱えた女性たちが山登りという苦しいことをすることで、前向きになっていきます。
山にはこんなにも不思議な力があるのかと思いました。
湊かなえさんの小説にしては終わり方がスッキリしていて、モヤモヤ感が少ないのがとても意外でしたが、悩みや心の黒い部分も描かれていて、泥臭さもありいつもながら心理描写に感心させられます。
最終章では海外の山に登るのですが、以前の登場した女性が繋がりを持ちます。
最後はこの人とこの人が繋がってと、改めて読み返しながら最終章を読むのがおすすめです。
「山女日記」は工藤夕貴、夏菜、かたせ梨乃、黒谷友香さんといったキャストでNHKのプレミアムドラマでドラマ化されています。
400ページ超の長編だけどテンポよく読める【下流の宴】
著者:林真理子
医者の娘で夫もエリートサラリーマンという主婦の由美子の家は上流家族。
娘の加奈、息子の翔にも上流家族になることを求めます。しかし現実は、息子は中卒で同棲している彼女の珠緒もフリーター。
珠緒のことを下流と一家は批判するものの、娘の加奈は離婚し子供を連れて戻ります。一方の珠緒は医学部に合格するという偉業を成し遂げます。
上流の一家が一気に下流に転落するという皮肉な物語です。
人を見下すことがいつか自分に跳ね返ることの怖さを痛感し、欲張らずに謙虚に生きたいと感じました。
上流、下流という考えで物事を判断してしまう由美子が少し不憫にも思いました。
長編ですが、長さを感じないテンポ感があって読みやすい一冊です。
「下流の宴」はドラマ化されています。黒木瞳、美波、窪田正孝、渡辺いっけい、加藤夏希、遠藤憲一さんなど多数出演していました。
仕事を頑張っている女性に送りたい一冊【ランウェイ】
著者:幸田真音
ファッションブランドのバイヤーの真昼が仕事に奮闘して、自分のブランドを立ち上げるまでの数年間を追った物語です。
ミラノ、パリ、ニューヨークと飛び回る真昼が生き生きしていて刺激を受けました。
ファッション業界で勤務経験があるのですが、業界の仕組みや商品の製造過程まで細かく描かれています。
複雑な人間関係、恋愛も現実味がありました。奮闘する真昼からとても元気がもらえます。
仕事でくじけそうになったり、もう辞めてしまおうかと思った時も、もう少し頑張ってみようかと思わせてくれます。
600ページと読み応えたっぷりです。
本を読むことが好きなるきっかけにおすすめな一冊【本を読む女】
著者:林真理子
林真理子さんの母をモデルにした小説です。
裕福な家に生まれた万亀は読書が好きな少女でした。
進学、就職、結婚と大正・昭和の激動の時代の波に翻弄されながらもいつもそばには本がありました。彼女にとって本が生きる支えでもありました。
私自身も読書が好きで、癒されたり、励まされたり、本から沢山の力をもらうので、万亀の気持ちにとても共感できました。
特に大正・昭和の時代は今とは違い、女性が強く前に出にくかったと思います。
自由が制限された時代の中で本が唯一の解放感を味わえたのかもしれないです。
いつの時代も本はいいなと思います。
キャリアウーマンから節約女子になる主人公のクセになる物語【れんげ荘】
著者:群ようこ
キャリアウーマンの40歳のキョウコが仕事を辞めて貯金で節約生活をする話です。
トイレシャワーが共同の木造アパートに引っ越し、月10万で暮らす日々の様子が楽しいです。
節約生活の中で、アパートの住人とのやりとりや、真冬の厳しい寒さに耐える様子も明るくて私もやってみたいなと思うほどでした。
共同スペースのあるアパートは減っていますが、一度くらいキョウコのような生活も体験してみたくなります。
仕事をスパッと辞めてしまう行動力とさばさばした性格のキョウコが気持ちがいいです。
続編もあるのでこの生活の続きが楽しめますよ。
コメント